.xmpファイルができる理由
RAW(.NEF、.CR3、.ARW、.RAFなど)はメーカー独自の形式です。Adobeによれば、Lightroom Classicはこうしたファイルの破損を避けるためXMPを元ファイルに書かず、別のサイドカーファイルに保存します。JPEG・TIFF・PSD・DNGではファイル内にXMPを書き込みます(Adobe:Lightroom Classicのメタデータの基本)。
XMP仕様パート3(2020年1月)は、外部のXMPを探すなら同じディレクトリで、本体と同じ名前に拡張子 .xmp を付けたファイルを見よ、と書いています。これをサイドカーXMPファイルと呼びます(パート3のPDF)。LightroomとCamera Rawは DSC_0512.NEF の横に DSC_0512.xmp を置きます。darktableは元の拡張子を残した IMG_0001.CR3.xmp を書き、読み込み時にはLightroom式の名前も見ます。結び付くのは名前だけなので、現像ソフトの外で片方だけ変えるとペアが外れます。
XMPを書くソフト
現行のマニュアルか、こちらで実行したコマンドに結び付けられる四つです。表に無いソフトがXMPを書かない、という意味ではありません。このページでは断言しない、というだけです。
| ソフト | XMPの置き場所 | ドキュメントの記述 |
|---|---|---|
| Lightroom Classic | 独自RAWの横の .xmp。JPEG、TIFF、PSD、DNGはファイルの中。 | Adobeは、破損を避けるため独自RAWにはXMPを書き込まない、としています(Lightroomのメタデータ)。変更を自動的にXMPに書き込むがオンのときか、メタデータをファイルに保存したときにサイドカーができます。そうでなければ .lrcat カタログだけです。15.0(2025年10月)以降、重い編集は別の .acr にも入ります(XMPとACR)。 |
| Adobe Camera Raw | Camera Rawデータベースか .xmp サイドカー。環境設定で選びます。DNGの設定はDNG内。サイドカーを選んだ場合はそちら。 | Adobe:サイドカーは同じフォルダ、同じベース名、拡張子 .xmp で、IPTCも持てます。データベースに置いているなら Export Settings to XMP で書き出せます(Camera Rawの保存先)。 |
| darktable | IMG_0001.CR3.xmp のように元の拡張子を残したサイドカーと、ライブラリのデータベース。 | 5.6マニュアル:メタデータ、タグ、編集履歴の全体がサイドカーに入り、環境設定 → storage で止めない限り初回読み込みでXMPが作られます(サイドカー)。Lightroomの basename.xmp は読みますが、書くときは自分の名前です(他アプリのサイドカー)。 |
| ExifTool 13.55 | 指定した .xmp、または対応形式の内部XMP。 | 下の一覧はこの版で書いて読み戻したものです。タグ一覧が、出てきたグループを説明しています。XMP-exif、XMP-dc、XMP-tiff、XMP-xmp、XMP-xmpMM、XMP-crs、XMP-iptcCore(ExifToolのXMPタグ)。 |
.xmpを開く:ExifToolの実測
中身はXMLです。テキストエディタかブラウザでパケットを見られます。項目ごとに出すなら ExifTool。2026年10月22日、ExifTool 13.55でサイドカーを書きました。カメラのファイルではありません。読み戻しは exiftool -a -G1 -s DSC_0512.xmp です。
[File] FileType : XMP
[File] FileTypeExtension : xmp
[File] MIMEType : application/rdf+xml
[XMP-x] XMPToolkit : Image::ExifTool 13.55
[XMP-iptcCore] CreatorWorkEmail : lab@example.com
[XMP-crs] Exposure2012 : 0.35
[XMP-dc] Creator : CreatorPrivacyKit lab
[XMP-dc] Rights : Lab sample, not a real copyright notice
[XMP-dc] Subject : sidecar-test
[XMP-exif] GPSAltitude : 12 m
[XMP-exif] GPSLatitude : 10 deg 30' 0.00" N
[XMP-exif] GPSLongitude : 20 deg 15' 0.00" E
[XMP-tiff] Make : LabMake
[XMP-tiff] Model : LabModel
[XMP-xmp] CreatorTool : ExifTool 13.55
[XMP-xmp] Rating : 3
[XMP-xmpMM] HistoryAction : saved
[XMP-xmpMM] HistorySoftwareAgent : ExifTool 13.55
[XMP-xmpMM] HistoryWhen : 2026:10:22 12:00:00+08:00
[Composite] GPSLatitudeRef : North
[Composite] GPSLongitudeRef : East
[Composite] GPSPosition : 10 deg 30' 0.00" N, 20 deg 15' 0.00" E座標は渡した値です(-XMP-exif:GPSLatitude=10.5 と -XMP-exif:GPSLongitude=20.25)。写真から読んだものではありません。ExifToolは度分秒に半球を同じ値へ入れ、仕事用メールは Iptc4xmpCore:CiEmailWork として保存しました。ファイルサイズと時刻の行は実験機のものなので省きました。サイドカーに画素はないので、開いても画像は出ません。
XMPファイルは削除してもいい?
写真そのものは壊れません。何を失うかは、同じ情報がほかにも残っているかで決まります。
- Lightroom Classic:主な置き場はカタログです。.lrcatを残していれば、サイドカーを消しても現像設定は普通そのままです。別のソフトや、カタログのないPCではRAWが未現像に見えます。
- Camera Rawでサイドカー保存にしている場合:環境設定が sidecar .xmp なら、そのファイルが現像の記録です。消すとRAWはその設定なしで開きます。データベース側に置いているなら、.xmpが唯一のコピーとは限りません。
- darktable:編集履歴はライブラリのデータベースにもあります。別のPCへ移すとき、読み込み直すときに履歴を運ぶのが.xmpです。
- 人に渡すとき:画像だけでよければ.xmpは外してください。現像設定も渡すなら同梱で構いませんが、次の節を先に読んでください。
XMPファイルから分かること
サイドカーはRAWと一緒にzipされやすく、送ったことに気づきにくいファイルです。Adobeの名前空間の説明では、一つのXMPパケットの中でプロパティは欠けていてよい、とされています。相手のファイルに項目がないのは、そのとき書かれなかっただけで、仕様が禁じているわけではありません(XMPの名前空間)。下の表は実験ファイルに実際にあった項目で、意味は仕様かExifToolのタグ一覧から引いています。
| 漏れうるもの | 一覧での名前 | その名前の出所 |
|---|---|---|
| アプリがGPSをサイドカーへコピーしていれば、撮影場所 | XMP-exif GPSLatitude、GPSLongitude、GPSAltitude | exif名前空間(http://ns.adobe.com/exif/1.0/)に書かれます。実験ファイルは 10.5 / 20.25 / 12 m。写真から読んだ値ではありません。 |
| 誰が、いつ手を入れたか | XMP-xmpMM HistoryAction、HistorySoftwareAgent、HistoryWhen | Adobe:xmpMM:Historyは上位の操作を並べたリストで、アプリケーションが所有します(XMP Media Management)。実験では saved、ExifTool 13.55、2026-10-22 12:00 +08:00 でした。 |
| 最初に触ったツールと星の数 | XMP-xmp CreatorTool、Rating | Adobe:xmp:CreatorToolは「リソースを作成したと分かっている最初のツールの名前」です(XMP基本名前空間)。 |
| 作成者名、権利の文言、キーワード | XMP-dc Creator、Rights、Subject | Adobeがよく使う部分集合として挙げているダブリン・コアです(名前空間の概要)。 |
| 仕事用メール | XMP-iptcCore CreatorWorkEmail | ExifToolは Iptc4xmpCore:CiEmailWork として保存しました。実験値は lab@example.com です。 |
| コピーされたカメラのメーカーと機種 | XMP-tiff Make、Model | 行が出るように LabMake と LabModel を入れました。実際のサイドカーはカメラの値を写すことがあります。 |
| 現像スライダーの一つ | XMP-crs Exposure2012 | 名前空間 http://ns.adobe.com/camera-raw-settings/1.0/。ExifToolがファイルへ書きました。実験値は 0.35 です。 |
共有前にXMPを消す方法
サイドカー:いちばん簡単なのは送らないことです。同じ実験ファイルに続けて exiftool -overwrite_original '-XMP-exif:GPS*=' DSC_0512.xmp を実行しました。ExifTool 13.55がファイルを更新し、もう一度 exiftool -a -G1 -s DSC_0512.xmp を掛けると XMP-exif の行は出ていませんでした。作成者、権利の文言、キーワード、メール、Exposure2012、メーカー、機種、CreatorTool、レーティング、Historyの三つはそのまま残っています。アスタリスクは引用符で囲んでください。囲まないとシェルがファイル名のパターンとして展開します。Lightroomのメタデータパネルでもフィールドは消せます。どちらの方法でも、消したあとにファイルを読み直してください。
書き出したJPEG/PNG/WebP:書き出し画像には、XMPがファイルの中に入っていることがよくあります。CreatorPrivacyKitのメタデータ削除ツールで残っている情報を確認し、ブラウザの中できれいなコピーを作れます。ファイルはアップロードされません。対象は書き出した静止画で、RAWや.xmpサイドカーそのものは扱いません。画像の中のXMPとGPSメタデータも参照してください。
BIOSのメモリXMPとは別物
BIOSやメモリ設定のXMPを探していたなら、それはメモリのオーバークロック用、IntelのExtreme Memory Profileです。写真ファイルとは別の話です(Intel:XMPとは)。
参考資料
- Adobe — XMP仕様パート3(2020年1月):同じディレクトリ、拡張子 .xmp のサイドカー
- Adobe — XMP仕様の目次(パート1〜3)
- ISO 16684-1:2019 — XMPデータモデルとシリアライズ
- Adobe — XMP基本名前空間(xmp:CreatorToolと日付)
- Adobe xmp-docs — xmpMM:History
- Adobe — Lightroom Classicのメタデータの基本と操作
- Adobe — 外部サイドカー(XMPとACR)への保存
- Adobe — Camera Rawの設定はどこに保存されるか
- darktable 5.6マニュアル — サイドカー
- ExifTool 13.55 — XMPタグ名、およびこのページの実測一覧